そろそろ、新米が出回る季節ですね。
お米の汚染について心配になるのは主婦なら当然だと思います。毎食のように食べるということはセシウムなどが蓄積しますから。
作物が汚染されるということについて、一番危険なのはすでにできている物(お茶の葉等)にフォールアウト(放射性降下物)した場合です。ダイレクトに汚染されますので食用としてはアウトになる可能性大です。
では、汚染された土で新しく植物を育てた場合はどうなるのでしょうか。
ここからは土壌のおはなしです。
フォールアウトした放射性核種が土壌中においてどんな風に存在するかは単純に降下した量等だけではわかりません。
まず、その土がどんな土なのか、粘土質なのかそうでないのか。で大きく違います。
日本では、ものすごく大ざっぱにいうと、黒ボク土・沖積土に別れます。
黒ボク土は、母材である火山灰土と腐植で構成され、表層は腐植が多いため色は黒色又は黒褐色です。
アロフェン質黒ボク土、非アロフェン質黒ボク土に分類されます。
アロフェンとは火山灰土壌中に広く存在する二酸化ケイ素・酸化アルミニウムの水和物(粘土鉱物)です。
沖積土とは、流水に運ばれて低地に堆積した土砂が土壌化したもので低地土ともいいます。(水田に多い)

粘土鉱物とは、ケイ素(Si)のまわりに、酸素(O)が4面体状に配列して骨格をつくり、その間にマグネシウム(Mg)・鉄(Fe)・ナトリウム(Na)・カリウム(K)・カルシウム(Ca)などの陽イオンが入り込んだケイ酸塩鉱物です。

セシウムカリウムと間違われて吸着され、ストロンチウムはカルシウムと間違われて吸着されます。4面体状に配列だけだと電気的に負(マイナス)になっているので、陽イオンを取り込んで全体として電気的に均衡をとろうとします。(陽イオン保持能力が大きく、陽イオン交換容量が大きいということです)
水戸の土はアロフェン質黒ぼく土ですから、陽イオン保持能力が高く、植物にセシウムストロンチウムが吸収されにくくなります。ただ、過去に多くの事例があるわけではないのでしっかり採れた植物を計測するべきです。
福島の分布をみるとあまりアロフェン質黒ぼく土が見受けられませんのでセシウムストロンチウムはより植物に移行している可能性が高くなります。残念ながら灰色沖積土は陽イオン保持能力はあまりなく、陽イオン交換容量はアロフェン質黒ぼく土より少ないということです。これは、セシウムストロンチウムの割合も挙動も特定しにくいということ、採集した環境に左右されるということです。
盛岡や水戸などの多湿黒ぼく土やアロフェン質黒ぼく土で水田が作られる場合、粘土鉱物がセシウムストロンチウム陽イオンと判断し吸着し、作物にそれらが移行するのを防ぐ働きがあるのに対し、沖積土は作物への移行、(作物による吸収)が高くなるということです。(栃木もアロフェン質黒ぼく土の分布が多いようです)
だからといって、埼玉などの黒ぼく土が少ない地域は植物に移行するから駄目なのかというと、そう断定できないのは、降下物(フォールアウト)の総量が関係してくるということです。(福島は降下物がとても多いうえ場所によっては粘土鉱物が少ないという可能性がありますので移行係数が高くなります。できれば今年は見合わせて、ゼオライトなどで土地改良をして地中内のセシウム等を吸着させたり、様々な除染を試したあと作付けして欲しいと心から思います)
降った量が同じならアロフェン質黒ボク土のほうが植物への移行が抑えられてセシウムストロンチウムの値は少なくなります。(残念ですが降下量が大きく違いますので一概にいえないのが現実です)
各県、全ての水田一つ一つに、フォールアウトした量が、国によって計測されていて、尚且つ、土壌の種類も特定されていれば、おおよその予想もつくでしょうが、そんなきめ細かい措置が為されるような国ではないことは、もう、みなさんも分かっていることと思います。

消費者にできる選択は、国が出した放射性降下物が多かった地域のお米は計測されていないものを避けるということ、できるだけ、無洗米を購入しそれをよく水ですすぎ、といでから炊くこと、です。
農水省や民間研究機関において過去に出されたデータによると、ストロンチウムは玄米に多く検出され、白米に近づけば近づくほど少なくなるからです。

糠(ぬか)に危険な物質が残るということです。(糠漬けは暫く、避けたほうが賢明かもしれません)

日本のお米が安全になるためと土壌の汚染浄化のために、各大学、民間研究機関に研究して欲しいことがあります。

セシウムストロンチウムのキレート剤を土壌の浄化に使う方法です。アルギン酸ナトリウムやフェロシアン化第二鉄(プルシアンブルー)など。
そして、プルシアンブルー(顔料)でできるなら人が経口できるものでも何とかなりませんか?

もともとゼオライトなどは農業用の土地改良剤に使われていますよね。水中で発揮する能力が高いということは、水田に向いていませんか?

シリカゲルはどうでしょう。ゼオライトシリカゲルも食品添加物として使われることも有りますから毒性は少ないし、作物を作る土壌に使えませんか?
値段の問題とかだったらこういう時こそ、寄付を募るとか…。

多角的に色々な方法で浄化していくことが、福島の未来を取り戻す近道ではないでしょうか?

研究者の方たちへ