これは私の体験だが、大学生のころ、鉄のノミをコークスで溶かして叩き、水に入れて焼きを入れるという作業をした。
今にも滴り落ちるかという溶けた鉄を水にいれれば、あまりの温度差に膜ができて小さな水蒸気爆発を起こす。しかし、ハンマーで叩くことで表面温度を少し下げ、形を留めるような状態にすれば水に入れても大丈夫である。ただし条件があって、水の量が多く(深く)なければならない。

1号機と2号機は建屋の地下いっぱいに水が存在し、蒸発しても影響があまりないほどの体積である。

これは、メルトダウンしたとはいえ、大量の水の中にある燃料にとっては幸いである。
<原子炉圧力容器下部や格納容器の温度が、燃料溶融しメルトダウンしているにもかかわらず、大気圧で水が沸騰して水蒸気が存在していると仮定しても、100度前後ということは、ありえない。ほとんどの燃料が溶液状に溶融して、格納容器を貫通して、その真下のコンクリートに到達しているか、もしくは(サプレッションチェンバにつながる配管が損傷した可能性大)建屋の地下に落ちているということである>

ただひとつ、水は中性子の減速材となってしまう為、建屋地下の片隅に燃料が集まってしまい臨界量に達したときに再臨界することになる。
<水は中性子のスピードを遅くさせ、ウランやプルトニウム中性子をキャッチしやすくする働きを持っている>

建屋の地下の水を高濃度のホウ酸水で満たすのが安全の要となる。<ホウ酸水は中性子を吸収する性質がある>

溶けた鉄が水の底のコンクリートに溜まり、溶岩のように盛り上がって冷えていくように、溶融した燃料も同じような状態で建屋地下のコンクリートの床で冷えつつあるに違いない。(もちろん格納容器の真下のコンクリートの床でも格納容器の水で同じような状態になる)

《悪いほうへ転がる場合》

ホウ酸水の濃度が低くて中性子をあまり吸収できず、溶けた制御棒のハフニウムやホウ素が燃料とは関わりがない状態で、一箇所に燃料が次々と集まり続け臨界量を大幅に超え、再臨界し、まわりの水を大量に蒸発させどんどん高温になり水も無くなり、それに気が付かず急に新しく水を注入するなどということをすれば水蒸気爆発が起こる。(ずっと注入を続けているからありえないが、手違いで止まったら・・・)

3号機は現在温度が上昇中である、MOX燃料の崩壊熱が予想を上回ったか、注水量とホウ酸水の濃度と量が足らないのか、まあ、両方だと思うが。

3号機の場合も水の量のバランスが悪ければ、水蒸気爆発が起こる。

そして3号機には、1号機2号機に比べると、水の量のバランスが見えないという難しさがある。(1・2号機のように溶融した燃料のほとんどが格納容器<圧力容器ペデスタル内も含む>や建屋地下に落ちたならバランスが見えるけれど、まだ全部落ちずに一部を残していると仮定した場合)

高濃度のホウ酸水が要であることは変わりないがどれだけ入っているか解らないのが問題である。

起こるとしたら水蒸気爆発の可能性が高い。<MOX燃料の崩壊熱を抑えられるかが決め手>

追記・・・・・原子炉圧力容器の温度が高いとはいってもそこまで高くないからほとんど落ちているけど残っているという状態だと思うのだが、とすると3号機の建屋地下も水没しているということになる。
水底で臨界量に達しての再臨界もありえる<プルトニウムの臨界量はウラン235の3分の1>MOX燃料の方が再臨界する確率は高いだろう。

<現在、温度が高いと騒がれているが、放射線量が上がっていないから再臨界は考えられない。MOX燃料の崩壊熱が原因だろう。>

これ以上の環境汚染が起こらないことを心から願う。