『東電によると、圧力容器の水位は、10日から原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整して判明。これまで水位は、燃料頂部から約1・6メートル低い位置で事故直後からほとんど変化しなかった。
そのため、水位計を調整したところ、燃料頂部から5メートル以上低いことが明らかになった。
燃料は長さが約4メートルであることから、完全に冷却水から露出した状態。
東電は、既に燃料の大半は溶けたり、崩れたりして、底部に落下したとみている。
経済産業省原子力安全・保安院は、圧力容器の温度も低いことから、燃料は容器底部にたまった水によって冷やされているとの見解』 

窒素が注入された時点では、水素爆発防止と、高温状態での注入による窒化ジルコニウム生成あたりを狙って亀裂に強くするのかなと思っていましたが残念です。

今後の心配は、集まった核分裂物質が球状になり臨界質量に達することです。

核分裂物質の形状が細長かったり、薄い板状であれば、内部で発生する中性子の多くが外部へ飛び出してしまい、核分裂反応に寄与しなくなるため、臨界に達しなくなる。逆に物質の体積当たり最小の表面積となる球状の時、臨界量は最も少なくなる。形状が球に近づけば近づくほど臨界に達する』

茨城の臨界事故で多くの日本人が学んだと思いますが、ウランやプルトニウムはその形状と質量で臨界するという特徴をもっているから怖いのです。

1号機も然る事ながら、2号機も心配です。
サプレッションチェンバの放射線量が5月4日から上昇を始め、5月7日に148sv/hという恐ろしい値を出した後、着実に減り続けている事実。(現在90sv/h)
これは外部に流出の可能性ありです。(サプレッションチェンバの損傷部位からの蒸気漏れ、汚染水漏れなど)下記はその証明?

東京電力福島第1原発事故で、福島大は11日、上空の放射線量調査結果を公表した。風に乗って約60キロ離れた大学上空0.9〜2.6キロで高い放射線量《100cpm(cpmは1分当たりの放射線量を示す単位)前後と通常の数倍の値》が観測され、現在も原発から放射性物質の漏えいが続いていることが確認された。
高度6〜8キロでは、これまでの漏えい分が滞留している可能性が高いという。
とくに、高度8.2キロではベータ線が506.6cpmに達し、放射性物質が地上に降りず漂っているとみられる。』
(このデータは、4月15〜29日の15日間(2号機燃料プールのやや高濃度の放射線量とS/Cの放射線量が高濃度<100sv/h前後>1号機ドライウェル(DW)の放射線量が異常に高かった影響期間)のものなので2号機のサプレッションチェンバ<S/C>の放射線量が上昇を始めた5月4日から5月12日の超高濃度<148sv/h>の放射性物質の影響データがでれば、その間のデータも上がっているならば確実な証拠になりますね)

そして、もう一つの放射性物質の漏えいで心配なのは使用済み燃料プールです。

水が放射線を遮蔽する役割をもつのは、「その3 原発の状況と天気と風向きについてのおはなしです」のなかに詳しく書いてありますが、如何せん、燃料プールの上は「空」です。

遮蔽するものが「水」しかありません。その水から高濃度の放射性物質が検出されたら、それは、揮発・蒸発という形で風に乗って「じわじわ」と少しづつ汚染が広がることを意味します。 
東京電力福島第1原発の事故で、東電は10日、3号機使用済み核燃料プールの水から高濃度の放射性物質を検出したと発表した。
セシウム137(半減期約30年)は1立方センチ当たり15万ベクレル、セシウム134(同2年)14万ベクレル、ヨウ素131(同8日)1万1000ベクレルなど、先月18日に発表した2号機プールとほぼ同レベルで、通常運転時の炉水に比べて約1000倍。
東電は「炉内の放射性物質が水蒸気などを通じて溶け込んだ」として、プール内の燃料溶融は否定している。
また、東電は10日、3号機プール内の映像を公開した。4号機のプールに比べてがれきの散乱が目立ち、プール下部にある使用済み燃料も見えない状況だった』


2号機のサプレッションチェンバの濃度が5月7日に148sv/h(=148000ミリシーベルト毎時=148000000マイクロシーベルト毎時)まで上がったのはなぜなのでしょう。

今は東電のホームページのどこを探しても見つからないデータなのですが、3月の2号機の圧力容器下部温度はとても異常な高温が何度も続いていました。そして、現在は計器不良によりデータはありません。
ここからは予想です。

圧力容器下部には制御棒駆動機構があって、ゴムでできた部分がある(例えば、原子炉圧力容器の下鏡部に貫通固定されるアウターチューブとスプールピースの間には、漏水(炉水の漏洩)防止のために、ゴム製などのOリングが設けられる等)

どう考えてもそのゴムが耐えられる温度ではなかったから、早い時点で2号機の圧力容器下部は漏水を起こしていて溶け出したジルコニウムや燃料溶融した水が格納容器内に滴り落ちていたと思われます。(注水している大量の水)

でもこの現象は初期のデータが解らない事から、1号機3号機にも共通でいえる事かもしれません。


少し時間を戻して、1号機と3号機の爆発の理由を考えると、まず、格納容器内は水蒸気と溶け出したジルコニウムとの反応や水の放射線分解でできる水素が増え、建屋内に流れ込み、水素濃度の上限値を超え水素爆発を起こした。

次に、2号機の爆発ではサプレッションチェンバに炉水の漏洩が起こり(地震津波で残留熱除去系の弁に不具合が発生とか)、水の放射線分解でできる水素が増す、ここで水素を処理する可燃性ガス濃度制御系が働かなかったので増えるだけになり爆発、サプレッションチェンバの上部損傷?

トレンチに流れたと同程度の濃度の汚染水を抱えたままのサプレッションチェンバにまた炉心での燃料溶融による高濃度の放射性物質が流れ込んでしまった現在?(蒸気)

温度のデータから、サプレッションチェンバ内での再臨界とかはないと思うのです。

1号機ですが、既に燃料の大半は溶けたり、崩れたりして、底部に落下したのに、温度はさほど高くないということは、圧力容器下部は漏水を起こしていて、溶け出したジルコニウムや燃料溶融したものが格納容器内に少しずつ漏れ出し散在していて、格納容器の水と圧力容器の水双方に存在している可能性あり?1号機は途中ドライウェル(DW)の放射線量が異常に上がって<4月8日〜4月24日>、その後、計器不良によりデータが取れない状況なので、格納容器内に燃料が落ちているけど冷やされていたりするかな?

どちらにしても水棺するのは漏れてる以上どうなんだろう?

1号機の格納容器の放射線量が100シーベルトになって再臨界の可能性があったことを以前にブログで書きましたが格納容器内に燃料が落ちていると思える1つの事象かもしれません。
よろしかったら読んでみて下さい。
IdoAの本気 〜いどあのほんき〜