その2 昨日のセシウム137に続いてヨウ素についてのおはなしです。

人類は環境(与えられた外部条件の持続的な変化)に応じて、生物体の機能・性質・状態を変化させ、順応してきました。

甲状腺ホルモン(チロキシン)をつくるためのヨウ素はまさにこれだったのではないでしょうか?(あまり手に入れることができない貴重なものだから大切に大切につかわれている?)

しくみ:血中のヨウ素化イオンは、甲状腺にある細胞の上皮部分の細胞に、レシチンと結合して入り、そこで甲状腺ホルモン(チロキシン)を作りだして貯蔵されて、必要に応じてアミノ酸になって、また血中に運ばれ目標の細胞に入って遺伝子を合成する助けをして、それからまたまた、ヨウ素化イオンに分解されて再利用されます。(生体内をサイクルしているのです。)

甲状腺ホルモンは成長期に活発に使われるものだし、甲状腺の大きさに必要なヨウ素の量も比例していて、小さい子どもほど少しの量で満タン状態になるから、だから放射性ヨウ素は子どもの大敵なのです。

そして今度も政府は乳児のために水道水の測定値を公表し、子ども達を守ってくれています。(正直いって民主党にはがっかりし通しだったのですが、きっと国の大事ということでたくさんの影の支えがあるのでしょう、そんな感情は減りました。頑張ってください)

さて、セシウム137で説明した生物学的半減期と物理的半減期と実効半減期ヨウ素ではどうなっているのでしょう?

ヨウ素131の物理的半減期は8日です。
生物学的半減期は14日です。(甲状腺では120日)

物理的半減期: 自然界で(今なら大気中と土と水の中)8日経つと自然に‘半分’がベータ崩壊(‘放射線’を放って、同質量数で原子番号の異なる核種“キセノン131”に変わる)すること。

生物学的半減期は14日です(甲状腺では120日)ので身体の外へ‘半分’排出されるのに14日(甲状腺では120日)ということです。
が現実は体内中にあるヨウ素131も物理的半減期を8日で迎えるので、両方で減っていくことになります。計算すると実効半減期は、5.1日(甲状腺では7.5日)となります。

そして、食物連鎖をたどって食物中に入りこの食物を食べるとヨウ素131が人体へ入ってきます。

しかし、実効半減期は、5.1日(甲状腺では7.5日)なのでセシウム137ほど大量に溜まりませんが、ヨウ素は少ない量で活躍する物質ですので小さな子どもには特にダメージがあります。だからこそ実効半減期は、5.1日(甲状腺では7.5日)以内にまた次の放射性ヨウ素131を摂取しないように大人たちが守ってあげなくてはならないのです。

「人は100ミリシーベルトまでは無害だから54000ベクレルのほうれん草をいっきに90数キロ摂らなければ平気だ」という報道がどんなに、どんなに、乱暴な意見か、考えただけで、胸が痛いです。

外から電磁波としてアルファ線ベータ線ガンマ線をうけるということならともかく、経口で54000ベクレルをマークするほどのベータ崩壊して‘放射線’を放って、同質量数で原子番号の異なる核種「キセノン131」に変わるヨウ素131を含む食物を小さな子どもまでもが口にしていいなどと、生物(生体)と物質を混同した意見を言わないでほしい。

今までに安全な天然ヨウ素甲状腺に蓄積されていれば後から放射性ヨウ素131が入ってきても溜まらないと言う人もいます。たしかにその通りかもしれません、でもそんなことどうやって判るんですか?生まれたばかりで母親の母乳から受け取る新生児はどうすればいいんですか?母親が気にせず54000ベクレルをマークする程の放射性ヨウ素131を食べて汚染された水を飲んで母乳からまったく出てこないとでも言うんですか?

新生児の小さな小さな甲状腺に溜まるべきヨウ素の量を考えたら、それがあなたのこどもだったら「人は100ミリシーベルトまでは無害だから54000ベクレルのほうれん草をいっきに90数キロ摂らなければ平気だ」と言えますか?

私は恐怖を煽っているわけではありません。「人は100ミリシーベルトまでは無害だから54000ベクレルのほうれん草をいっきに90数キロ摂らなければ平気だ」という言葉に恐怖を感じているだけです。

私たち普通の大人はそれでいいです、食べましょう。特に甲状腺の働きが落ちてくる40歳過ぎのおとなはそんなにこだわる必要はないかもしれません。

どうかどうか、お願いします。人道的に正しい報道をしてください。
いろいろな角度から吟味に吟味を重ねて、愛のある報道をしてください。日テレさん、TBSさんフジテレビさんお願いします。


ここからは、私個人の見解ですので間違っていたらお詫びします。
「洗ったり煮て食べれば平気だ」という報道についてですが、言っていることは理解できます。たしかに、除染すればかなり減るでしょう。また、煮るというのも家庭科の授業程度の発想ですが、浸透圧の理論から水に養分が溶け出すようにヨウ素131やセシウム137が溶け出すかもしれません。

ただし、煮た水は捨てなくては意味がありませんよね。だから、正しくは、煮るのではなく、下茹でをしてその後調理する、ならば理解できます。

シチューやカレーやスープのように、浸透圧の理論から水に養分が溶け出すようにヨウ素131やセシウム137が溶け出したかもしれない汁を食すのは意味がないかと思いますし、沸騰させれば、ヨウ素131やセシウム137が無くなるという誤解を招きます。

私の友人はテレビの放送を見て、210ベクレルの値の水道水を沸騰させたので、放射性ヨウ素131は無くなったと固く信じていましたので、NHKの「汚染された水を煮沸したり浄水器を通せば平気だということが言われていますが、実験や検証で確定されたものではありませんので、きちんと政府にしたがって乳児は水を摂らないように」と放送されたのを紹介しましたところ納得してくれました。

いかに報道が人に多大な影響を与えるか考えさせられました。

次は、原発の状況と天気と風向きとのお話をしますね