その1 子ども達の未来のために汚染された原乳と露地野菜を廃棄してくださった農家の方「ありがとうございます」

今、ミヤネ屋や日テレのニュースを見ていて悲しくなりました。
民放はデマを流すようなことをしてもいいのでしょうか?

「人は100ミリシーベルトまでは無害だから54000ベクレルのほうれん草をいっきに90数キロ摂らなければ平気だ」というのです。TBSも「妊婦も母乳をあげている母親も、まだ甲状腺に十分な天然ヨウ素を蓄積しているかどうかも不明な生まれて間もない乳児もすべて含めて平気だ」というのです。

「洗ったり煮て食べれば平気だ」というのです。
「洗濯物も外に干して平気だ」というのです。

それどころか摂取制限が掛かる直前の福島県のほうれん草を災害に会った人への支援だといって売りさばいた後、摂取制限を出されて支援ができなくなると、大田区の八百屋さんのドキュメンタリーを通して、「洗えば落ちるのに、たかが54000ベクレルだから食べても健康に影響がないのに、風評被害を作り出すようなことをして、関東から野菜を消して関西から野菜を入荷することになってしまうと物価が上がり苦しむのは庶民だから、政府はきちんとした説明と値を出すべきだ」とさえいうのです。

そうでしょうか?

今日のNHKでは「汚染された水を煮沸したり浄水器を通せば平気だということが言われていますが、実験や検証で確定されたものではありませんので、きちんと政府にしたがって乳児は水を摂らないように」と放送していました。

また、「爆発や炎上や蒸気を出している以上どんな事態をも考慮して念のため洗濯物は屋内に干しておけば安心でしょう、爆発や炎上や蒸気が収まれば、また干せるようになるし、花粉と一緒で大気中の放射性物質が洗濯物に付着します。できれば受けないにこしたことはありません」とも言っていました。

どちらが正しいと思いますか?

みなさん。
化学や物理の学者は化学や物理の観点からものを言うのです。

確かに累計100ミリシーベルトまでは成人にかぎっては血液検査の数値や臓器の病気などにすぐに出てきたりするものではありません、この研究は末期がん患者や不治の病等を被験者にしたプルトニウム投与のアメリカの実験ででているものだと思われます。

症例はごく少ない人数ですし、母乳をあげている母親も、まだ甲状腺に十分な天然ヨウ素を蓄積しているかどうかも不明な生まれて間もない乳児も入っていないことでしょう。

みなさん。
放射線放射性物質核分裂片)は違うものですよ。

分りやすく言うと放射線は電磁波のようなものです。

放射性物質核分裂片)は核分裂によって変化した粒子です。

放射性物質を電球に例えると、放射線はその電球から出る光みたいなものです。

放射線は、主に、アルファ線ベータ線ガンマ線中性子線があります。
アルファ線は、遠くにいれば、紙一枚、皮膚で防げます。プルトニウム239はアルファ線を主に出します。(ベータ線ガンマ線中性子線も出します、この並べた順番に量は減っていきますが)
ベータ線は『直接や近くで大量に一部分に集中して浴びなければ』、遠くにいれば、アルミニウム一枚、アクリル板などで防げます。
ヨウ素131やセシウム137などの放射性物質核分裂片)(放射性核種)はこのベータ線を発します。

この辺まで説明すると「あーテレビで見た」と思いませんか?
そうです。テレビは正しいことを言っています。
正しいことと、確定や確立していない不確かなものを並べて出すから問題なのです。

以下は文部科学省の告示です。国がこんな法律を出しています。
『平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)』
《妊娠中である女子については、第一号及び第二号に規定するほか、本人の申出等により使用者、販売業者、賃貸業者又は廃棄業者が妊娠の事実を知つたときから出産までの間につき、人体内部に摂取した放射性同位元素からの放射線に被ばくすること(以下「内部被ばく」という。)について一ミリシーベルト

「人は子どもから大人まで100ミリシーベルトまでは無害」ならどうして法律で1ミリシーベルトに決められているのでしょう?

化学者や物理学者がいうことも確かに理屈が通ったものです。でもそれは物理側から見た数値で、生物学側からの数値ではありません。
たとえば、物理側から見ると、「セシウム137は半減期が30年」です。
でも生物学側から言うと「生物学的半減期は90〜110日」です。

半減期って何でしょう?

物理的半減期 : 自然界で(今なら大気中と土壌の中)30年経つと自然に‘半分’がベータ崩壊(‘放射線’を放って、同質量数で原子番号の異なる核種に変わる)すること。

これをそのまま体の中に当てはめられるでしょうか?入ったら30年も出て行かないなんて、考えるだけで恐ろしいですね。大気と違って私たちの体はいろいろなメカニズムをもっています。だからそのまま当てはまるのではなく、そこで登場するのが、生物学的半減期です。セシウム137の生物学的半減期は90〜110日というデータがあります。

たった一度摂取しただけならそんなに考えなくてもいいかもしれません。110日後には半分に減り、その後も減り続けるから。

けれどそんなに簡単な問題じゃないんですよ。

放出されたセシウム137は、食物連鎖をつたって米、野菜、牛乳や肉、魚などの食物の中に入ります。この食物を食べるとセシウム137が人体へ入ってきます。
セシウムは血液に入って、筋肉を始めとしていろいろな組織や内臓へ運ばれて行き、生物学的半減期でそこから半分体外へと排せつされます。(仮に110日とする) そして体内に残っているセシウム137も自然に物理的半減期によって減ります。(30年の間にベータ崩壊して半分になるけど30年後に一斉にせ〜のハイ!と変わるわけでなく早いのも遅いのもあるのよ)

だから身体の中に入った放射能が半分になるまでの時間は、この二つによって減ることになるのです、これを実効半減期といいます。現実に半減される時間です。今回の原発事故のように農地や牧場が広くセシウム137で汚染された場合は、食物の放射能汚染が長く続くために食物を食べる度に食物と一緒にセシウム137が身体に入って来ることになります。
食べた食物に入っていたセシウム137が身体の外に出ない内に、また次の食物を食べることになるので、体内放射能は次第に高くなっていきます。実効半減期が長いほど蓄積し、高くなるのです。また、食物中の放射能が大きいほど、体内放射能は大きくなります。

計算しましたら、セシウム137の実効半減期は108.9日だったので、今摂ったセシウム137が半分になる108.9日までに次々と摂っていくことになるわけで、とても深刻だから政府は規制をかけたのです。ちゃんとした対応で、同じ地球に住む世界の人に向けて誇らしかったです。日本がきちんとしているのが判れば輸出にも良い影響があると思います。
そして、断腸の思いで廃棄してくださった農家の方々に心からの尊敬と感謝をこめて。この事故が収束した時、私達は最善を尽くしてバックアップしていかなければいけないと思います。

次はヨウ素についてお話しますね。「洗ったり煮て食べれば平気」とか子どもの摂取についてもできるだけ正しい知識を持ちたいものです。