みなさん、臨界質量というのをご存知ですか?

核分裂物質の形状が細長かったり、薄い板状の場合、内部で発生する中性子の多くが外部へ飛び出してしまい、核分裂反応が起こりにくくなります。

逆に物質の体積当たり最小の表面積となる球状の時、中性子は内部に吸収され臨界に達します。その時の量を臨界量(臨界質量)といいます。

ウラン235は濃縮されていない状態だと46〜7kgぐらいで臨界します。濃縮100%では15kgぐらいで臨界量に達します。

プルトニウム239は濃縮されていない状態だと10kgぐらいで臨界します。濃縮100%では5kgぐらいで臨界量に達します。

3年半程度の使用済燃料1トンあたりの核種の種類と量は、ウラン238が929㎏・ウラン235が9㎏・ウラン236が5㎏・プルトニウム11㎏・超ウラン元素1㎏・核分裂生成物45㎏です。

1号機は69tの燃料が入っています。2・3号機は94tの燃料です。

単純に計算しても
ウラン235は、1号機に9×69=621㎏、2号機に9×94=846㎏ 」

ウラン238は、1号機に929×69=64t、2号機に929×94=87t 」

プルトニウムは1号機に11×69=759㎏、2号機に11×94=1034㎏」

そのうちプルトニウム239が約6割、プルトニウム240が約2割です。

「1号機にプルトニウム239は455㎏、プルトニウム240は152㎏、2号機にプルトニウム239は620㎏、プルトニウム240は207㎏」

その燃料がメルトダウンして落ちていたら?どうでしょう。厚みがでて球状に近くなり臨界量に達しないほうが変です。

しかも周りには中性子の減速材である水が反射体として存在し、高速中性子を熱中性子に変えて核分裂しやすくしてくれている。想像してください。

東電発表も嘘ではありません。そこがあの方たちのずるい所です。

プルトニウム240は高い確率で自発核分裂を起こします。自分で勝手に起こすのです。また、ウラン238も確率は低いですが炉内には大量に存在しますので(2号機に87t)自発核分裂の可能性があります。
そのせいでキセノン135が検出と言っていますね。

でもね、自発核分裂中性子を生み出すということにもなります。

プルトニウム240やウラン238から生まれた中性子はその周りの大量に存在するプルトニウム239やウラン235中性子を供給し続けます。(核分裂の連鎖反応を起こします)

そして、あまりにも大量なプルトニウム239やウラン235は時々臨界量に達して臨界しています。ずっと今日までそうやってきています。もちろんプルトニウム240は自発核分裂します。(確率は低いですがウラン238も自発核分裂します)どちらも起こるのです。

東電のM氏は記者の質問にこう答えられておりました。(長いので内容を判りやすく要旨で表現しました)

「いままで、どうして気がつかなかったのですか?」

「今回、初めて、格納容器ガス管理システムを2号機に設置した為です」

そう、今まではまともに測っていなかったんです。だからキセノン135は今頃発表されました。

それでは何故過去の再臨界はないと断言するのか?

「1.5kmはなれたモニタリングポストで中性子は検出されなかったので臨界していないと判断しました」

そこで記者につっこまれました。

「過去に、構造上内部で臨界しても格納容器から外部へ中性子は出ないと言いましたよね、それならば、外部で検出されないのは当然のはず」

そうです。臨界していても中性子が外部に漏れないのならば、臨界していても外部に中性子は検出されない。

中性子は検出されなかったので臨界していないという言い分はとても変です。矛盾です。

そこでM氏は、「過去に格納容器が健全ではないと考えていたので臨界していたら中性子が検出されると考えた」と白状しました。そして説明不足と言って謝罪しました。

がしかし、その後、こう言ったのです「現在は格納容器が健全だったと判明しました」

ですから、「1.5kmはなれたモニタリングポストで中性子は検出されなかったので臨界していないと判断しました」

あれ?またまた変です。狐につままれたような話、なんか、落語の小話みたい。すっごい矛盾。

みなさん、私が書いた前半の内容と、東電の方の内容。どちらが真実だとお思いになりますか

今回の東電の発表はまるで詐欺みたいです。何故かと言うと。

現在燃料は落ち着いていて、2号機は本当に再臨界していないのだと思います。

過去にはたくさんしていました。ペデスタルやサプレッションチェンバのDWのシーベルト数が臨界を示した期間はデータに存在します。

だから、今を狙ったのです。落ち着いていて、臨界していない今を。

だってそれならば、出てくるキセノン135の値はプルトニウム240やウラン238自発核分裂からのみになるからです。微量なのはこのせいです。納得でしょう?

こんなシナリオを書いたのは誰なのでしょうか?

何も知らない善良な国民を騙し続けて心は痛くないのでしょうか?

たぶん、こうやってブログやツイッターで書かれたり、TV放送で捻じ曲げた情報を流しても屈しない人達が6万人デモでたくさんいることに気づき、逆に、都合のいい、真実とごまかしを綺麗に混ぜた情報を盛んにTV放送し、「なぁんだ」と
思わせる。

緻密な計画で進められているんでしょうね。

悲しいです。

追記

以前に、2号機はサプレッションチェンバ付随の配管等の破損によって建屋地下に燃料の一部が出ているけれど水でいっぱいだからある意味安定していると書きました。
今もその考えは同じです。
サプレッションチェンバ内の水中や圧力容器内、ペデスタル内など分散して燃料が存在するとすれば、各場所で安定する可能性が一番高いと思います。
東電もそれが判っていて今回2号機に格納容器ガス管理システムを取り付けてデータを取った確信犯的なものではないか?と懸念しています。
1・3号機に格納容器ガス管理システムは取り付けられているのでしょうか?
1号機は建屋内の線量が高いと聞きました。水の量を増やしたとも聞いています。
圧力容器の破損部分が大きくなり大量にペデスタルに水が行くようになったのか?ペデスタルに張り巡らされた配管などから水を供給できるようになったのか?ペデスタルに落ちた燃料を冷やす方法の真相は分かりませんが努力は報われていると思っています。
ペデスタルの厚いコンクリートや圧力容器を覆ったコンクリートが外部に漏れずにいる最大の砦です。
「現在は格納容器が健全だったと判明しました」という東電の言葉はそういう意味ではよく分かります。
今、あの怪物を抑えてくれているのはコンクリートの構造物です。
以前書いたことがありますが、(コークスで鉄を溶解させた話)数千度の温度に対して耐えてくれるのはコンクリートだと思っています。
東電もその辺はだんだん確信が持てて来ていて、だから、少し自信を取り戻しつつあるのでしょう。

でも、隠すのはよくありません。
隠蔽体質は改善してください。

実際は、燃料が大量過ぎて、いつ何時、想定外のことが起こるのか解らないのですよ。
解っていると思いますが。

そして、もっと現場の方達を、ねぎらって下さい。
尊敬してください。
もっともっと色々なことを改善してください。
休憩施設の線量管理や現場の人にしか解らないご苦労を、同士として汲み上げてください。

会社組織という大義名分の下で、管轄が違うだの、会社が別だからだの言っていないで、協力してください。