みなさんも耳にしたことがありませんか?「1950年頃から1980年頃にかけて、英・米・ソ・仏・中が競って核実験を行い、日本において今回の原発事故より放射性降下物が多かったんだよ」という言葉を。
これから、その言葉をしっかりしたデータを使って検証します。

気象庁データ)による1959〜1983年の平均降下積算量(これは積算量<合計値>であることをお忘れなく)
 <Bq/k㎡>  
降下量観測地点《日本海側》札幌・秋田・福岡          

ストロンチウム90                 

3,114,000,000(31億1400万ベクレル)      

セシウム137

6,562,000,000(65億6200万ベクレル)


《太平洋側》仙台・東京・大阪

ストロンチウム90                 

2,128,000,000(21億2800万ベクレル)      

セシウム137

4,747,000,000(47億4700万ベクレル)


それでは今回の原発事故とくらべてみましょう(^^)

残念ながらこの期間はきちんとストロンチウム90を測っていたのに今回の事故では測られていませんのでセシウム137での比較となります。(本当に残念です)

まだ1年経っていませんので年間積算量はでません。でも“たった一日分”を見ただけで結果が解るデータをだします。『福島県自体のデータはありません。量が多くて恐ろしくて出せないのか本当に測ってないのか?』

Bq/k㎡
3月21日9時〜22日9時採取の定時降下物(文部科学省)<1日分のデータ>

《関東》

茨城県ひたちなか市

セシウム137

12,000,000,000(120億ベクレル)

東京都新宿区

セシウム137

5,300,000,000(53億ベクレル)

千葉県市原市

セシウム137

2,800,000,000(28億ベクレル)


1日で、しかも事故が起こった“福島以外の土地”にこれだけのセシウム137が降りました。

今回の事故は、まったく過去にない大惨事です。
「世界が核実験を競ってやっていた時代は、今の日本なんて比べ物にならないくらい放射性降下物が多かったんだよ、今回の事故なんてたいしたことはない」などという方々に、データを見せましょう。
彼らも、目が覚めるに違いありません。

ところで、皆さんもこれから収穫を迎えるお米について、とても心配なさっているのではないでしょうか?

そこでお米についてのデータによるお話をします。

1963年は世界が核実験を行っていた中で一番高い値を出した年です。この年の白米の動静をみます。

Bq/kg
1963年「白米の全国平均値」

ストロンチウム90                 

0.269ベクレル      

セシウム137

4.179ベクレル

全国平均値のもっとも高かった1963年、セシウム137の最高値は約 10 Bq/kg でした。

つぎに、玄麦のデータです。

Bq/kg
1963年「玄麦」

ストロンチウム90                 

12.3ベクレル      

セシウム137

43.6ベクレル

当時、これらの値は“mBq/kg”という“Bq/kg”より“1000分の1”小さい単位で測定され、12300だ!43600だ!高い!と驚かれていました。
現在の日本では12.3ベクレルと43.6ベクレルと表示されますね。
ちなみに、フランス⇒15300ミリベクレル(=15.3ベクレル)西ドイツ⇒15200ミリベクレル(=15.2ベクレル)スロバキア⇒5200ミリベクレル(=5.2ベクレル)でしたので日本はドイツやフランスと同じくらいの汚染でした。
よく、1950年頃から1980年頃にかけての折れ線グラフがテレビで出てきて、「ほらこんなに高かったのです」とやっていますが、その頃の資料における単位は“mBq/kg”です“Bq/kg”に直したら“1000分の1”になるんですよ。騙されないでくださいネ(^^)

最近福島で見つかった、690,000 Bq/kg(69万ベクレル)の稲わらを、その当時の単位で表してみましょう。
690,000,000 mBq/kg(6億9千万ミリベクレル)なんていう数字になってしまってその頃の人がみたら卒倒するでしょうね。きっと。

現在関東において、定時降下物は不検出ですが、単位が“MBq/k㎡”なのをご存知ですか?mとMでは雲泥の差があります。

MBq(メガベクレル)はベクレルの100万倍の単位です。例えば2メガベクレルは200万ベクレル(2,000,000Bq)になります。
そしてMBq(メガベクレル)はミリベクレルの10億倍の単位です。例えば2メガベクレルは20億ミリベクレルになります。

文部科学省の注釈を転載します。

環境放射能水準調査結果(定時降下物)

*検出限界値は都道府県によって異なるが、降雨のない場合、放射性ヨウ素放射性セシウムとも、最も検出下限値の高いところで約10MBq/k㎡となっている。

この単位で不検出とされていますが、もし、1963年ごろの日本人だったら、不検出の値をみて驚きますよ。
「なにが不検出だ100億ミリベクレル近く出ているじゃないか。なんてことだ!」

そして、現代の私たちは言う。
「なにが不検出だ1000万ベクレル近く出ているじゃないか。なんてことだ!」

そうです。10メガベクレル=1000万ベクレル=100億ミリベクレル以下は不検出ということになっている県もあるのです。

1963年に必死に研究していた科学者たちは声をそろえて言うことでしょう。

「なにかが狂っている」

次回は現在の日本で秋に出回る米について、土壌の性質と共に考えてみたいと思います。